迷い箸、寄せ箸 - お箸にまつわる5つのやってはいけないこと 後編

親から厳しくされた?お箸の作法。大きく分けて5つのNGがあります。
後編は「迷い箸」「寄せ箸」について。
今さら聞けないお箸のマナーをもう一度おさらいしてみましょう。 2017年08月05日作成

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迷い箸

日本には、「迷い箸」「寄せ箸」などたくさんのお箸にまつわるNGがあります。私たちは、それを型どおり受け取って、そのまま守ろうとしますが、本当はそうしたNGには、ちゃんとした理由があるのです。それを知ることで、お箸のマナーが、さらに自然に、美しくなるはずです。まずは「迷い箸」から。

「迷い箸」とは、お箸を持ったまま、どれを食べようかと迷って、食卓の上をうろうろすることを言います。確かに「迷い箸」は、その人を必要以上に食いしん坊のように見せます。また、食べ物の好き嫌いがあるかのように受け取られるかも知れません。「迷い箸」は、それをする人が、誤解を受けかねない行為なのです。

そもそも日本のお箸は、短くて、細くて、遠いところの料理を取るようにはできていません、日本料理では、料理を取り分けるためには、長くて大きな「取り箸」を使います。個人のお箸は、遠くの皿から料理を取るためのカトラリーではないのです。

だから「迷い箸」でなくても、自分の手元から離れた場所まで、お箸を泳がせること自体が不自然なのです。お箸を持って腕を伸ばす範囲は、せいぜい、座敷の宴会などで使われる「お膳」のエリアだとイメージしましょう。

お箸は、せいぜい目の前の数十センチの四角形のあいだだけを動くものなのです。それより遠いところにある料理は、左手(お箸を持っていない方の腕)を伸ばして、器を取り、自分の手元まで引き寄せます。

そうしてからお箸を使います。短くて、小さな日本のお箸は、手元のエリアで使うもの。それより先まで“遠征”することはない、と意識すれば「迷い箸」は自然になくなるのではないでしょうか。

寄せ箸

「寄せ箸」とは、お箸を使って、器を手元に引き寄せることを言います。理屈を知らなくても、これはみっともない所作だとわかるでしょう。手が届かないからと言って、お箸を手の延長のように使うのは、横着をしているように見えますし、料理を独り占めしようとするようで、欲深そうな感じもしてしまいます。でも、わかっていてもついつい、「寄せ箸」をしてしまう人は意外に多いものです。

器に手が届かないのであれば、近くにいる人に「とってください」とお願いすればいいわけです。その手間を惜しむと、不作法に見えてしまうのです。日本料理では、料理だけでなく、お皿や小鉢などの食器も値打ちがありました。美しい器に盛られた料理は、それだけで一幅の絵のように美しいものです。料理だけでなく、器にも料理の作り手の気持ちが込められているのです。大事なお客様をおもてなしするときに、亭主は大事な食器をわざわざ箱から出してきて使ったものです。

そういう大事な器は、素手で扱うのが基本です。そして必ず両手で。お茶席では客は茶を飲んだ後、茶碗を鑑賞しますが、そのときも両手で慎重に扱い、落としても割れたりしないように、前屈みになって畳から数センチの高さで鑑賞します。それくらい器は大切に扱うべきものなのです。

それを知っていれば、たとえ茶席ではなくても、器を手ではなく、箸で引き寄せる行為がどれだけ不躾で、亭主や料理の作り手の気持ちを傷つけているかがわかると思います。お箸は「手の代用品」ではありません。お箸は、料理をはさんで口に運ぶための道具であり、それ以上でもそれ以下でもないと言うことです。

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