ほっこりしたい季節だから。人気の和栗スイーツとお酒を合わせて愉しもう

秋を代表する味覚といえば、やっぱり栗。ほっこりとやさしい甘さの栗。スーパーに栗が並ぶと、思わず「秋だなぁ」なんて頬がほころんでしまいますね。 2017年09月16日作成

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おいしいだけじゃない。栗は女性にうれしい美容食

ほっこりとおいしい栗ですが、実は美容効果が高い食べ物です。皮膚の血色をアップし、ツヤ肌へ導いてくれる葉酸、シミやそばかすを改善してくれるビタミンC、糖をエネルギーに変えてくれるビタミンB2、免疫力を高めてくれるビタミンB6、お通じをよくしてくれる食物繊維など…。美肌やアンチエイジング、ダイエットと、うれしい効果がたっぷりなんです。栗を使ったスイーツはカロリーが心配…という人も、これだけの美容効果があると思えば罪悪感なくいただけますね。

日本の栗の産地といえば…?

みかんなら愛媛や和歌山、りんごなら青森や長野。では「栗の名産地は?」と聞かれたら…迷ってしまう人って意外と多いのではないでしょうか。各地で広く栽培されている栗ですが、一番の産地は茨城県で、日本の栗の45パーセントが茨城県で栽培されています。それから熊本県、愛媛県、岐阜県も栗の産地としては有名です。名産地の栗スイーツであればおいしいはず…! ということで、茨城、熊本、愛媛、岐阜の四県の栗銘菓をピックアップしてみました。

【長野県】行列必至の限定栗菓子「小布施堂の朱雀」

長野県上高井郡にある小布施町は、全国有数の栗の名産地。「小布施といったらココだけはハズせない」という栗の名スポットが、「栗菓子の小布施堂」です。なんといっても注目は、9月から10月半ばの栗のシーズンしか食べられない季節限定の栗菓子「朱雀」。やさしい甘さの栗あんのうえに、まるで細い蕎麦のようなきめ細やかな新栗のペーストをふわりと盛り付けた逸品で、この朱雀をお目当てに、毎年、全国各地から栗スイーツマニアが殺到します。

整理券がないと食べられない、幻の味

この朱雀をいただくには、8時半から配布される「朱雀券」と呼ばれる整理券をゲットしなければいけません。一日400個限定、平日であっても7時前から行列ができはじめるので、よほど近隣でない限りは、前乗りして小布施に宿泊しなければいただけない、いわば幻のスイーツといったところでしょうか。早い人だと、真夜中の3時ごろから並び始めるというのですから、いかに熾烈な争奪戦が繰り広げられているのかがわかります。近隣の宿泊施設には、朱雀券がついた宿泊プランを用意しているところもあるので、そちらをチェックするのが確実かもしれません。

砂糖さえ加えず、新栗の素朴さを味わう

さて、肝心の朱雀の味ですが「モンブランのような見た目とは裏腹に甘くないのでびっくり」「栗の香りがすごい」「栗そのものをいただいているよう」といった感想が多く寄せられています。新栗100パーセントでつくられた栗ペーストをたっぷりとまとった究極の栗スイーツ、人生で一度はいただいてみたいですね。

【熊本】やまえ堂の「やまえ栗の渋皮煮」

熊本県球磨郡山江村は、農家の縮小化が進む小さな村ながらも、年間約150トンを出荷する栗の名産地。やまえ栗の特長は、その粒の大きさ。ほかの品種と比べて大粒の栗をそのまま生かした渋皮煮は、山江村の名産品として高い評価を受けています。やまえ栗を使った渋皮煮は、クルーズトレイン「ななつ星」や JALの機内食のデザートとして選ばれることもあるのだそう。また、特産の渋皮煮を練りこんで作るかりんとう菓子「栗んとう」なんて商品も売られています。

手間暇かけてつくりあげられた渋皮煮はまるで宝石のよう…!

渋皮煮は、その名のとおり栗を渋皮ごと煮つめてつくる栗スイーツです。外側の硬い鬼皮を一粒一粒ていねいに剥き、渋皮に包まれた栗を取り出すのですが、中の渋皮を傷つけないように取るのはなかなか大変な作業です。さらに渋皮の筋取りを行い、栗を崩さないよう慎重に重曹湯で茹でこぼし…そんな途方に暮れてしまいそうな作業を繰り返しながら艶々と美しく光る渋皮煮を煮詰めあげていきます。栗のシーズンになると渋皮煮をつくる家庭もあるかとは思いますが、やはりとても手間のかかるもの。栗本来の風味や食感が味を決めるものなので、やはり名産地でつくられた渋皮煮は格別です。

ブランデーやウィスキーとのマリアージュを楽しみたい

和風マロングラッセといったような見た目をしている渋皮煮ですが、マロングラッセとはまったくの別物。ねっちりとした食感と品のある甘さは、お茶菓子としていただくのはもちろん、ブランデーやウィスキーとも相性ばっちり。日持ちするので、秋から冬にかけてゆっくりと、長い夜のお供にいただきたいですね。

【愛媛】四国銘菓にごろっと栗が入った「御栗タルト」

タルトといったらどんなかたちのものを思い浮かべますか? クッキー生地で作られたサクサクの皿に、カスタードクリーム、フルーツがたっぷり乗った洋菓子のタルトでしょうか。四国、特に愛媛県で「タルト」といえば、餡を薄くスライスしたカステラ生地で巻いたものを指すのだそう。オランダ語でケーキを意味する「taart」、ポルトガル語でケーキを意味する「torta」に語源があるといわれ、当時はスポンジ生地にジャムを塗って巻いたロールケーキ状のものだったのではないかと考えられています。

さわやかなゆず餡に大粒の栗がごろり

栗の名産地・愛媛の栗菓子といえば「ハタダの御栗タルト」。愛媛特産のゆずを使ったさわやかな餡を、ふんわりと口当たりのやさしいカステラ生地で包んだ、愛媛流タルトですが、なんといっても特長は大粒の栗がごろっと入っていること。やわらかなカステラ層とねっちりとした餡、そしてほくっとした栗と三層の食感が楽しい銘菓です。また、大きめに刻んだ栗が入った「ハタダ栗タルト」も食べやすくて人気です。

【岐阜】おせちのアレとは別物です。東濃の「栗きんとん」

続いて岐阜県。岐阜県の東濃エリアは、全国有数の栗の産地のひとつ。そんな岐阜の銘菓が「栗きんとん」です。岐阜・東濃の栗きんとん(栗金飩)は、おせち料理の栗きんとん(栗金団)とはまったく異なるもの。蒸した栗に砂糖を加えて炊き上げ、つぶしたものを茶巾絞りにしたもので、栗本来のほっこりとした食感と、素朴な甘みを楽しめる和菓子です。東濃の栗きんとんは、栗のシーズンとなる9月ごろから1月ごろにかけて販売される季節菓子。シーズンが訪れると、シュンシュンという蒸気の音とともに、和菓子屋さんから栗のやさしい香りがただよってくる…そんな光景は、もはや東濃エリアの風物詩といっても過言ではありません。これまでは、栗のシーズンにしかいただけない特別な和菓子でしたが、保存技術が進んだ今、通年で取り扱う店舗も増えています。

岐阜観光に行くならトライしたい「栗きんとん」食べ比べ

東濃エリアのなかでも中津川市と恵那市は特に和菓子屋が密集しているため、栗きんとんの名店がずらりと軒を連ねています。栗を蒸かす音を耳で味わい、その香りを鼻で楽しみながらいただく栗きんとんはやっぱり格別。最近はテレビで特集が組まれることもあるため「岐阜に行ったら東濃の栗きんとんを食べ歩きしたい」なんて人も増えてきました。もしも岐阜県の東濃エリアに足を運ぶことがあったら、ぜひトライしたいのが「栗きんとん」の食べ比べ。栗きんとんの材料は基本的に砂糖と栗だけ。シンプルだからこそ、栗選びや砂糖の配合、蒸し上げ時間、炊き上げ技術といった店舗ごとのクセの違いを楽しむことができるんです。すりつぶした栗の食感の違い、絞りの違い、甘さの違いなどから分かる店舗の特長。栗きんとんのごひいき探しを楽しむのもなかなかオツな愉しみ方です。また、一部の店舗では通信販売に対応しているところもあります。見た目、甘さともに上品で、シンプルな材料で作られている栗きんとんは、手土産にも人気。小さな子どもからご高齢の方まで、幅広い世代に喜ばれるようです。

秋冬の夜を愉しく。栗スイーツと合うお酒は?

和栗のお菓子に合わせるもの…というと、ついつい日本茶をチョイスしてしまいがちですが、素材の味をぐっと引き出した栗菓子だからこそ、いろいろなお酒との相性がいいんです。

上品な渋皮煮には、香り高いブランデーを合わせて

和栗のスイーツとしてもっともポピュラーな渋皮煮。和製マロングラッセともいうべき品格あるスイーツは、マロングラッセと同じくブランデーとの相性が抜群です。渋皮煮の透き通るようなすっきりとした甘みと、鼻を抜けていくブランデーの香りの華やかな組み合わせ、思わず「まいりました!」と声をあげてしまいそうになりますよ。また、ウィスキーやラムといった香りを楽しむお酒との相性も抜群です。

カステラ生地やマロンクリームにはスパークリングワインを

マロンクリームを使った洋菓子や、愛媛流タルトのようなカステラ生地の栗スイーツにお酒を合わせるなら、イチオシは甘口のスパークリングワイン。ふつふつと立ちのぼる小さな泡を眺めながら、ふんわりとした口当たりの栗スイーツをほおばる瞬間はまさに至福のひとときです。上質なシャンパーニュの栓を抜かなくても、うきうきとした気分にさせてくれる組み合わせですよ。

ほっくり系栗スイーツは日本酒で

岐阜の栗きんとんのような、栗本来の風味を生かした和栗スイーツは、ぜひ日本酒で。「日本酒とスイーツ、合わないのでは?」と思われがちですが、実はこれは大間違い。素材の味を引き出してくれる日本酒だからこそ、自然な甘さがおいしい和栗のスイーツとはぴったり合うんです。なんといっても合わせたいのは常温より少し温い涼冷え(15度から20度程度)に調整した純米酒。ほっくりとした和栗の甘みに、すっと抜けるような清楚な香りとまろやかな口当たりの日本酒をまとわせれば、思わず頬がゆるむおいしさです。

栗×栗。栗焼酎と合わせるのも◎

麦焼酎や芋焼酎など、栗のスイーツは焼酎にも合います。栗焼酎であれば、和栗スイーツとも特に好相性。香りも食感もほっくりとした栗ならではの魅力を存分に愉しんで。お酒とスイーツの両面から、栗づくしの夜を過ごすのも素敵です。

いかがでしたか。秋冬にほしくなる栗のほっこり味。実際に全国各地の栗の名所を訪れてみるのもいいものですが、なかなか機会をつくるのは難しいもの。お取り寄せできるものであれば、現地まで足をのばさなくても和栗のスイーツを愉しむことはできるので活用してみて。

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