会社の価値はどのように決まるの?!企業価値の“相場”はあるの??

会社はいくらで売れるのか?売り手最大の関心事である企業評価についてご紹介します。 2017年09月25日作成

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会社はいくらで売れるのか??これは売り手にとって最大の関心事ですが、この回答を得る前に、次の 2 つのことを考えなくてはなりません。

①「会社をいくらなら売るのか」
②「どんな会社がいくらで買うのか」

この相反するう 2 つのテーマを常に意識しつつ、、企業評価につい考えていきたいと思います。通常、ものの値段の決まり方は、大きく 2 つに分けられます。

1 つ目は「相場があるもの」の値段の決まり方です。
たとえば、スーパーで売っている魚や野菜のように同じものが大量に出回る場合は、需要と供給のバランスによって値段が決まります。
ですから、その年(豊作か不作か)、その時期((旬の野菜かハウスものか)、その日(昼間の定価販売か閉店間際値下げ販売か)によって値段が変動します。

2 つ目は、「相場のないもの」の値段の決まり方です。
中小企業の企業評価は、「相場のないもの」に値段をつけるという行為です。売買金額の交渉段階において、アドバイザーは、売り手・買い手からその根拠を求められます。売り手へは、安く売ることになるかもしれないという不安を解消するための根拠を提示し、買い手へは、M&A の決断をするための根拠を提示します。
このように、アドバイザーが第三者に売り手・買い手双方の納得いく根拠づけをしてあげることが、企業評価の最重要ポイントです。

ここで、売り手・買い手双方が合理的に納得できる根拠づけができたら、それは実践的なよい企業評価といえます。よい企業評価は M&A が成約する手助けをします。たとえば、取締役会での意思決定や買収監査がスムーズに行われるための参考資料となるのです。

中小企業の企業評価は時価純資産価額法が一般的?!

現在、一般に容認されている企業評価の手法は、次のとおり分類できます。

①時価純資産価額法等
企業の純資産価値(ストック)に着目した評価方法

②収益還元法・DCF法(ディスカ ウント・キャッシュフロー法、割引現在価値法)・配当還元法等
企業の収益価値等(フロー)に着目した評価方法

③類似業種比準法・EBITDA 倍率法・PER 法 等
上場企業の株価から推参する評価方法

その他、企業のストックとフローの両面を考慮した「(時価純資産価額+収益還元価額)÷2」のような各評価方法の折衷法等がありますが、中小企業の M&A における評価方法として最もよく用いられるのは、「時価純資産価額+営業権」です。

上場企業の M&A で最も重視されてきてるのは DCF 法ですが、日本の中小企業の M&Aでは、まだ、キャッシュフロー概念になじみがなく、将来のキャッシュフロー予測の困難性から説得力に欠けるため、あまり採用されていません。

また、キャッシュフロー予測には、将来その会社をどのようにしていくかを数値化した事業計画が必要となりますが、中小企業の M&A の場合、経営者=オーナーであることが大半であり、M&A 実施後は、オーナーは経営の一線から身を引くことが通常です。そのため、これから経営にタッチしない売り手が描く事業計画と、これから経営に取り組んでいく買い手が描く事業計画に大きなギャップが生じやすいということも、採用しづらい理由の1つです。

《重要》
中小企業の企業評価は、「相場のないもの」に値段をつけること。売り手・買い手双方に納得のいく根拠が求められます。

企業評価額がマイナスの場合は?

実際には、企業評価額が簡単に算出できない場合があります。たとえば、次のようなケー スです。

●利益が急拡大または急降下している場合(将来の予測が困難)
●買い手がつかない業種(重厚長大型産業等〈過去の含み益はあるが、経営赤字が続いて いる〉)
●業界特有の営業権の算出方法がある場合(LP ガス業界等) また、企業評価額がマイナスになる場合も問題です。 企業評価額がマイナスになる場合としては、たとえば、従業員が高齢化していて薄外の退職給付引当金が数億円あり実質債務超過にある場合や、建設業等競争激化のために数千万円の経常損失が何期も続いていて、営業権をマイナスに見られる場合等があります。
株式の譲渡では、株価がプラスでないといけないので、もし、マイナスの結果になれば、株式譲渡が不可能、企業評価額も算定不能といわざるをえません。
実務上、マイナスの金額が少額であれば、買い手を探せますが、業績のよい部門だけの事業譲渡ができるかどうかを検討したり税務体質を改善するため、社長が増資を引き受け資本を補填する方法がとられます。また、民事再生法を絡めた M&A の事例も増えてきました。

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