2つの会社を1つにする合併とは?!「吸収合併」と「新設合併」の 2つの手法

吸収合併と新設合併。2つの合併手法の違いや特徴をご説明します。 2017年10月29日作成

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合併とは、「2つの会社が契約によって1つの会社に統合される」という最もイメージし やすい M&A の形態です。

合併には「吸収合併」と「新設合併」の 2つがあります。

吸収合併とは合併当事会社のうち1社が存続会社となり、他の会社は解散して、その財産及び権利義務のいっさいを存続会社 に継承させる方法です。

一方、新設合併は文字どおり合併当事会社がすべて解散して 1つの新会社を設立し、解散した会社の財産や授業院を引き継ぐ方法です。

しかし、この方法を採用するケースはほとんどありません。
なぜなら、新設合併の場合、合併当事会社に与えられていた許認可等は必ずしも新設会社に継承されるとは限らず、新しく許認可を取得する必要が生じる等、迅速な事業開始ができないからです。

合併は大企業から零細企業まで幅広くさまざまな目的で利用され、公正取引委員会に届出が必要な大型合併(総資産が100億円超と10億円超の合併)が平成20年度は69件となっておりますが、届出を必要としない合併を含めると、はるかに多い件数の合併が行われているものと思われます。

最近では「合併の事前審査の廃止による、法定審査への一本化」等により、国際競争が激しくなるなかで、国が企業の再編戦略を進めやすい環境を整えようと している動きもあります。

吸収合併の特徴は、合併会社(存続会社)が被合併会社(消滅会社)の財産及び権利義務の いっさいを包括的に継承するので、賃貸借上の地位も、労働契約関係も当然に移転すること になります。
契約関係が当然には継承されず、個別の同意がひつようとなる事業譲渡とは大きく異なる点です

イメージダウン予防?!「対等合併」とは?

吸収合併ではよく「対等合併」という言葉が使われます。

対等合併は、被合併会社(消滅会 社)のイメージダウンや、そこで働く従業員のモラールの低下防止等のためによく使われる言葉ですが、本来は株式の交換比率、すなわち合併比率が1対1という意味で使われる場合と合併当事会社の株主が所有する合併新会社株式の所有割合が、きわめて接近した割合になる合併を意味する場合があります。

中小企業の合併は融和には時間がかかる?!

中小企業の間でもグループ再編の手段として合併が行われます。

ただ、第三者との合併では、 そこに相当な相乗効果が認められないと、なかなか実施しにくいものです。

確かに、合併手続は 1997 年の商法改正によって報告総会が不要となる等、大幅に簡略化され、また最も煩わしいとされていた公正取引委員会に対する合併の事前届出も、独禁法の改正によって、中小企業にとっては負担にならなくなりました。

しかし、企業文化やそれによって生まれた企業風土、さらには労働条件や労働慣行の異なる 企業が1つになるのは大変なことです。

一般的には、合併の当事会社が1つに融和するに は、10年の歳月が必要ともいわれています。中小企業でも、規模の利益が得られるような場合の合併には即時効果が期待できますが、最近は株式交換や会社分割等、合併と同じような効果が得られる方法が選択できるようになりました。

M&Aの目的を十分吟味し、合併がベストと判断される場合に、実行に踏み切ることが肝要です。

吸収合併における消滅会社の創業者利潤はどうなるの?

非上場企業同士が企業買収の一形態として吸収合併を選択した場合、消滅会社のオーナー (株主)が合併を機にリタイアしても、役員退職慰労金の支払いが承認された場合を除き 現金収入はありません。

オーナーが所有していた消滅会社の株式が存続会社の株式に変わるだけで、創業者利潤は合併新株を売却するまでは獲得できません。

株式交換と同様に、「合併」を機に株式を現金化するのは容易ではないことを、あらかじめ覚悟しておかなければなりません。

したがって、事業継承と創業者利潤の取得を目的としている場合の合併の相手としては、上場企業か、あるいは合併による上場促進を計画している企業を相手に選ばなければ、 目的達成は困難になるので、相手の選択は限られることになります。

「三角合併」ってどういうこと??

2007年5月1日から、会社法の「合併等対価の柔軟化」に関する部分が施工され、「三角合 併」が話題を呼びました。

三角合併とは、吸収合併における存続会社が消滅会社の株主に対 して存続会社の株式ではなく、存続会社の親会社の株式を交付する方法です。

国内企業の場合は、対価の柔軟化によって株式交換でも同様の効果をあげることができますが、親会社が外国企業の場合は、三角合併がクロスボーダーM&Aの新たな手段として活用されることになります。

ただし実際の活用事例は、米シティグループによる、日興コーディアルグループの完全子会社化等、限られています。

《重要》 中小企業にとって合併手続は簡略化されたが、労働条件や労働慣行の異なる企業が1つになるのは大変なこと。合併がベストかは慎重に考えるべき。

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