ホルモンが影響して発症するといわれている女性男性型脱毛症(FAGA)。実はホルモンだけではなく、さまざまな要因が絡み合っているようです。
原因を1つに絞ることが難しいFAGAですが、ここでは、FAGAの進行に関わりがあるとされる要因を4つご紹介します。
1.女性ホルモンの減少
女性ホルモンの減少はFAGAに大きく関係します。女性ホルモンには髪の成長を促進し、その寿命を延ばす働きがあります。
しかし、女性ホルモンは年齢とともに徐々に減少します。女性ホルモンが減るとヘアサイクルの休止期が長くなり、新しい髪の毛が生えてくるまで時間がかかるようになります。その結果、髪の本数が少なくなり、全体的にボリュームがなくなってしまうのです。
また、妊娠期や経口避妊薬(ピル)の服用中は女性ホルモンが活発に分泌されるために本来なら抜け落ちるはずの髪も成長し続けます。しかし、産後やピルの服用を中止したあとは、女性ホルモンの分泌量が急激に減少し、それまで髪の成長が止まるために抜け毛が増加します。
これは一時的な抜け毛ですが、ホルモンバランスが整わなければ、毛髪の発達が遅れ薄毛が続いてしまいます。
2.ストレス
慢性的にストレスを受けつづけると、自律神経が緊張し続けることになり、血管が収縮して血流が悪くなります。髪の成長に必要な栄養や酸素は、血液によって毛母細胞まで届けられていますが、血行不良の状態では十分に行き届きません。
また、亜鉛は髪の毛の細胞分裂を促進させ、丈夫で美しい髪をつくるために欠かせない栄養素ですが、強いストレスを受けると脳内で大量の亜鉛が消費され、髪にまで十分に供給されなくなります。
その結果、髪はやせ細ってしまいます。加えて、過度のストレスは自律神経だけでなくホルモンのバランスも乱します。すると、体内に活性酸素が発生し、ヘアサイクルに影響が出ると考えられています。
3.食生活の乱れ
食の欧米化が進み、高カロリーで動物性脂肪酸を多く含むものを好む人が増えました。しかし、これらの摂り過ぎは皮脂の分泌量を増やすだけでなく、血中のコレステロールも増やすため、血管を詰まらせることがあります。すると、血流が悪くなり、必要な栄養分がなかなか髪にまで行き渡らなくなります。
また、ダイエット時の食事制限は要注意です。人間の体は、心臓、肝臓、脳、神経など生命維持のために重要な働きをする器官へ優先的に栄養を送り、生命維持に直接関係のない髪へは最後に送るようにできています。そのため、ダイエットなどで栄養が少なくなると、なかなか髪にまで栄養が届かなくなり、抜け毛が増えてしまうのです。FAGA予防にはバランスのとれた食事が大切です。
髪の育成に欠かせない良質のタンパク質、亜鉛、ミネラル、ビタミンEを含む食品を積極的に摂るよう心がけましょう。
4.過剰な嗜好品
髪にとってタバコはよくありません。タバコのニコチンは血管を収縮させ、血液の流れを悪くさせるので、栄養が毛母細胞まで運ばれなくなります。それだけでなく、タールのような有害物質が体内に入ってきます。
有害物質から細胞を守るために活性酸素が発生しますが、活性酸素は酸化させる力が強力なので、増え過ぎると細胞の老化を早め、体の組織を衰えさせるといわれています。また、タバコ以外にも気をつけたいのがアルコールです。
多量に飲み過ぎると、肝臓がアルコールを分解することに一生懸命になり、本来髪をつくるために頭皮へ送っていたビタミンBを使って、アルコールを分解しようとします。その結果、髪の生成に必要なビタミンBが行き渡らなくなってしまいます。
女性の場合、いろいろな原因が重なった結果、ヘアサイクルが乱れてFAGAを引き起こし、進行させています。
症状を改善するには、正しく原因を究明し、ひとつずつ解消していくことが必要です。原因究明のために、女性の薄毛に特化した専門家に相談してみるのも一つの手ですね。