急増中！女性男性型脱毛症（FAGA）の症状

AGAとFAGAは、名前が似ていますが同じ症状なのでしょうか？いいえ、AGAとFAGAの原因は似ていますが、症状は違います。ここでは、最近、女性に増えているFAGA（女性男性型脱毛症）の症状について説明します。

AGAは「andorogenetic alopecia」の略で、男性型脱毛症のことです。一方、FAGAはFemale AGAのことで、Female＝女性、AGA＝男性型脱毛症、つまり女性の男性型脱毛症のことです。男性AGAの原因は、ジヒドロテストステロン（DHT）という男性ホルモンです。もともと男性の体内にある男性ホルモンのテストステロンと、5-αリダクターゼという酵素が結びつくと、DHTにつくり変えられてしまいます。このDHTが毛乳頭細胞内のアンドロゲン受容体に結合すると、薄毛を引き起こすといわれています。男性ホルモンが原因なので女性には関係ないと思われがちですが、実は女性の副腎からも男性ホルモンが分泌されています。ですから、女性でもAGAを発症する可能性があるのです。女性の場合、男性ホルモンより女性ホルモンがたくさん分泌されているので、髪への影響はあまり見られません。しかし、加齢とともに女性ホルモンが低下すると、男性ホルモンの分泌が増え、女性でもAGAを発症してしまいます。男性のAGAは、髪の成長期が短くなることによって、太く丈夫な髪になる前に抜け落ちるのが特徴。生え際（M字）や頭頂部など局所的な薄毛です。一方、女性のFAGAは髪の成長が止まる休止期が長くなることによって、新しい髪の毛が生えてくるまでの時間がかかるのが特徴。その結果、髪の本数が減少し、髪全体のボリュームが無くなります。

AGAを発症させる要因として、女性ホルモンの減少が考えられます。女性ホルモンの分泌量は、40歳前後から徐々に減り始めます。すると、男性ホルモンとのバランスが崩れ、FAGAを発症しやすくなります。女性ホルモン分泌量の低下の原因は、加齢のほかにも以下のことが考えられます。

過剰なストレスによって自律神経のバランスが崩れると、脳がうまく指令を出せず、卵胞刺激ホルモンの分泌量が低下してしまいます。その結果、このホルモンに刺激されることで卵胞から分泌されるはずだったエストロゲン量も減少してしまいます。

寝つきが悪い、眠りが浅い、夜ふかしをするなど、睡眠不足になると脳の視床下部や下垂体の機能が正常に働きにくくなります。脳が正常に分泌指令を出せなくなると、エストロゲンの分泌量も減ることがあります。

不規則な食生活が続くと栄養バランスが崩れ、エストロゲンの材料不足につながるためその分泌量が低下します。また、ダイエットで食事を我慢すると､視床下部がストレスを感じて、ホルモンの分泌が乱れるおそれがあります。

湯船に浸からずシャワーだけで済ませたり、冷たい飲み物ばかり飲んだりしていると、体が冷えやすくなる可能性があります。体の冷えは、エストロゲンを分泌する卵巣の機能低下の原因になります。

FAGAの症状は、ルードウィッグ型、クリスマスツリー型、ハミルトン型の3つのパターンに分類されます。

FAGAで一番多いのは、ルードウィッグ型です。生え際は後退しないので、ヘアラインは保たれますが、頭頂部からつむじにかけての広範囲の髪が徐々に薄くなっていきます。ルードウィッグ型は、進行度合いによってI型からIII型に分類されます。初期段階のI型は、抜け毛が増え、頭頂部の髪の毛が細く産毛のようになります。次いでII型は、頭頂部の産毛状態がやや広がってきた感じです。そしてIII型になると、髪の薄い部分がより広がって、頭頂部が透けて見えるようになります。

クリスマスツリー型は、生え際から頭頂部、さらに進行するとつむじ付近にかけて薄くなります。クリスマスツリーが左右に枝を広げたように髪が薄くなることから、こう呼ばれています。分け目が薄く目立つのが特徴です。

ハミルトン型は、ルードウィッグ型やクリスマスツリー型とは異なり、M字がそりこみを入れたように薄くなるタイプです。中には生え際が全体的に後退することもあるそうです。男性のAGAととてもよく似た症状です。

FAGAはホルモンが関係して生じる脱毛症ですが、そのメカニズムは男性のAGAと全く同じというわけではありません。そのため、男性のAGA治療薬が、女性には効き目がないことがほとんどなのです。「FAGAかしら？」と思ったら、自分で対処する前に、まず専門家に相談するのが良いでしょう。