例題に学ぶ「時価純資産価額+営業権」評価手法!事例をもとに徹底解説!

具体的な例題を用いて「時価純資産価額+営業権」での評価にチャレンジしてみましょう! 2017年10月29日作成

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【A 社の概要】
業種……卸売業
設立……1979 年
従業員……4 人
役員……社長夫婦と社長の弟・母の 4 人
譲渡理由……60 歳になる社長は、持病の心臓病が心配、後継者もおらずM&Aを決意

まず、「時価純資産価額」についてですが、これは、資産と負債を時価に直した場合の差額 のことです。

つまり、売掛債権については回収不能分を控除し、商品については陳腐化品・不良 品等の売却価額の下落分を控除し、不動産については固定資産税評価額・路線価等を参考に概算評価を行い、その他減価償却資産については、適正な帳簿価格や中古車雑誌・業界雑誌、場合によっては同業者の意見を参考に評価し、上場株式・ゴルフ会員権については相場の動向により評価し、各種引当金・未払金については M&A 上妥当な金額を計上します。

その 結果、純資産価額は、純資産合計の評価額である 32800 千円となります。

ここで、会社の不動産の金額が大きい場合は不動産鑑定を行うべきです。

また、最近は不動産の資産価値としての優位性が崩れ、M&Aにおいても不動産は引き継がずに賃借するケー スが増えています。

このようなことから、遊休不動産については、引き継いだ場合でもM&A後に売却する可能性が高いため、その含み益に対する税金分を控除すべきでしょう。

負債については、退職給付引当金等の薄外負債の計上が需要なポイントとなります。

次に「営業権」については、いろいろな考え方がありますが、ここでは修正後税引前利益をもとに算出する方法を紹介します。

この修正後税引前利益とは、会社本来の収益力を示すために各科目の修正を行った後の税引前利益のことです。

具体的には、販売売費及び一般管理費からM&A後に発生しない経費(オーナーの私的な接待交際費や節税保険等)の修正を行い本来あるべき姿のPLに修正します。

役員報酬についても過大分や過少分を修正し、交際費については使いすぎや実質役員報酬分を修正し、減価償却費についてはきちんと計算し、地代家賃については会社と社長との間で賃貸契約があれば適正な地代家賃に修正します。

また、本業の利益を見るため、借入金に伴う支払利息の影響を除いて考えます。

さらに、一時的な要因で発生した損益は控除して考えます。

営業権の持続年数については、たとえば、収益が安定している企業の場合は 4〜5 年と長く なり、収益が安定していない企業の場合は3年前後と短くなります。

営業権については、簡便的に「修正後税引後利益×年数」とする方法もありますが、M&A上のリスクや事業に投資した資金が効率的に運営されているか等を考慮して、総資産の大きさに応じた調整を行うことが多いです。

たとえば、同じ1億円の利益を計上している会社であっても、総資産が10億円と100 億円の会社とでは、経営資源の使い方に大きな差があることになります。

営業権とは、会社のさまざまな経営資源を有効に活用して私益を上げる力のことですから、 仮に同じ利益を計上していても、そのもとになる経営資源の大きさに、つまり会社の総資産の大きさによって営業権は変化することになるのです。

具体的には、次の式を参照してください。

【営業権算出式】 営業権=(修正後税引前利益−時価総資産価額×4.7%)×3〜5(年)

A 社の事例を上記の営業権算出式にあてはめると、次のようになります。

【式】 営業権=(修正後税引前利益 20333 千円−時価総資産価額 277800 千円×4.7%)×32(年) =21829 千円

この式では、修正後税引前利益をもとに営業権を算出していますが、修正後税引前利益は、企業本来の活動のプラス面とマイナス面を相殺したものと言えます。

よって、修正後税引前利益をもとに営業権を算出する方法が、最も単純かつ説得力があるといえるのです。

【1】現状の経済・金融情勢を考慮し、評価時点の長期国債利回り 1.7%にリスクプレミアム3.0%を加えた4.7%が妥当と考えました。

【2】A社の場合、不人気業種であることや税引前利益が減少傾向にあることから評価の安全性を考慮し、標準的な営業権の持続年数より短めの3年としました。

業績が明らかに右肩下がりまたは右肩上がりの場合は、直近期重点を置いた加重平均で算出する方法が考えられます。

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